vol.2 省エネルギー「超」省エネルギー住宅は、
ありったけの情熱を注いでつくる。
住宅展示場を歩くと、「省エネ」や「エコ」を謳った住宅のポスターや垂れ幕をよく目にするようになりました。
「省エネルギー住宅」が大勢の方に知られるようになったのは嬉しいことですが、私たちは言葉が独り歩きしていることに、もどかしさを感じることがあります。それは、住宅展示場に来られるお客様の中には「省エネルギー住宅といえば、どれも同じでしょう?」と思われている方も、少なくないからです。しかし実際のところは、国が定める省エネ基準(次世代省エネ基準)ギリギリの性能でよしとするのか、さらなる高みを目指すのかによって、省エネルギー住宅としての「質」には差が生まれます。ものづくりに対する思いの違いが、暮らし始めてからの大きな差となることも、広く知ってもらいたいと思います。
自動車は、しばしば「1リットルで20キロ走ります」といったように燃費性能の数字で比較されます。燃費が良ければ、ある目的地まで少ないガソリンで行ける。燃費の悪い車でそこに行こうとするとガソリンが多くかかる。極めて明快ですね。家の省エネルギー性能も実は同じ。性能の差が、ランニングコストの差としてダイレクトに反映されるためです。「一条工務店の住まいは、一般的な省エネ住宅と比べると、年間の冷暖房費は6分の1になるんです」と言うと、ハッとされるお客様もいます。もちろん、一般的な家も「節電」することによって、燃費の差を小さくすることはできるでしょう。ただ、その場合、今度は「暮しやすさ」「快適さ」が犠牲になり、かえって満足の差が大きくなってしまいます。つまり、住まいの性能の差は、どこまで行っても埋まり切らないのですね。車よりも長く、数十年と住み続ける住宅ですから、省エネルギー性能の差にぜひ注目してください。
さて、車であれば「1リットルで20キロ走ります」と明快な省エネの目安がありますが、住宅では、Q値(もしくはUA値)といった住宅の“断熱性能”を表す数値で省エネの度合いを比べることができます。つまり住まいの省エネは、この断熱によるところが大きいのです。熱は住宅の窓、壁、床、天井、換気などあらゆる部分から出入りをします。その熱のロスが少ないほど、家の中の快適な温度を保ちやすいということになります。Q値は、まさに、その出入りする熱の量を表しているため、いかにその数字が小さいか(小さい程高性能)を見れば、断熱性(=省エネ性)の高い住まいにたどり着くことができるというわけです。
「とはいえ、Q値もいわゆる“計算値”。本当にその計算通りの性能が得られるかを温熱環境実験で検証した」と開発担当者は語ります。その言葉通り、家一軒がまるごと入る大きな冷蔵庫のような実験施設で温度を計測し、数値で示されている性能が発揮されているか“実証”したのは、「実験して建てる」をモットーとしている私たち一条のこだわりです。
一条の高気密・高断熱は、一つ一つの技術を積み上げることで成り立っているもの。それだけに「市場に流通している部材だけで、自分たちが理想とする省エネ性能、ご提供したい暮らしを叶えるのは難しい。あったとしても流通が少なすぎて調達価格も高くなってしまう。例えば、高性能ウレタンフォームは優れた断熱材だが、一条が目指す性能を確保するために必要な厚みのものが市場にはなかった」と開発担当者は言います。そこで決断したのが、必要なものは自分たちで作り出すということ。ウレタンフォームでは独自の金型を設計し、同時に成型技術の開発を行うことで、一般の市場にはない最大140mmという分厚い成型を可能としたのです。
一条工務店の「i-smartⅡ」「i-cubeⅡ」という商品シリーズは、「省エネ大賞」の最高賞である経済産業大臣賞を受賞していますが、これも、こうした技術や生産体制が大きく関わっています。省エネ大賞を受賞する製品の多くは家電や自動車などの工業製品で、建築業界では過去に受賞がありませんでした。その理由は、この賞では“高い性能のものを安定的に供給できること”が求められるからです。注文住宅はお客様のご要望によって1邸1邸の大きさや形状が異なる、いわば邸別生産。すべての住宅をハイレベルな性能で整えることは、実は至難の業です。その中での最高賞受賞は、省エネ性能のレベルの高さとその性能を備えた建物を常に建てられることが認められた、ということなのです。
お住まいのお施主様から、こんな話を聞きます。「家づくりを検討しているとき、一条は省エネ性能を数字で示してくれました。数字は嘘をつかない。暮らし始めてから、そのことをより実感しています」。
それを聞くと、私たちがお建てした住まいとその性能が、日々の省エネを支えているんだなぁと実感するのです。